無骨なる手より生きるる新豆腐
爽籟や白より数ふ古色幕
一蝶の涅槃図なれば月冷まじ
魚屋のをんなあるじが金魚飼ふ
山河出て山河へ還る秋の風
船溜まり祭なごりの笹四本
露草を踏みて弁天様の猫
いつよりか蟬穴のぞく余裕あり
至宝展へ青葉に染まるほど歩む
烏賊の皮一気に剥きて恋生る
蟻そつと動く憲法改正論
長き夜を瞑想しつつ微睡ぬ
秋暁のウインザー椅子詩人めく
秋高しパンダに三ヶ月検診
鶏頭の鬼女ともなりて夕間暮れ
かまきりに肩のありけり枯れ始む
白帝や頭揺らさず馬駆くる
いなつるび濁世を少し外しけり
長き夜の街さまよへるジャンヌ・モロー
秋風やものいふ人の欲しき日々
蜻蛉の尻を忘るる棒の先
水の秋深呼吸しつ診られけり

継ぐ人の表札匂ふ竹の春
家系図を辿る思ひも澄める秋
秋風鈴ひときは猛りあと閑か
初薄と声にして先急ぎけり
律の風八一の歌碑の読めぬまま
竹二本さやぐ余韻や夏の能
生くるにも死ぬにも力秋の蟬
ががんぼの針金の脚放電す
雲の峰手話の拳が胸たたく
樹医の聞く無言のこゑや広島忌
かなかなや目焦ぐる草間繭生展
盆僧の法被大きく座りけり
いずこにも龍の伝説水澄めり
共白髪茶道具美術展覧会
薄衣脱ぐや背伸びのゆるびたる
戸締りにふと止む小さき虫の声
山小屋の一畳分の秋思かな
宿題の朝顔に土たしてやり
老人になりきつてゐる敬老日
芭蕉庵の床几に座せば秋のこゑ
芭蕉句碑つくつく法師鳴きとほす
蝉しぐれ一瞬消して電車過ぐ
赤ん坊の髪ふはふはと秋の風
散るほどに命継ゆく凌霄花

津川 琉衣
友谷佐伎子
原田 嶺子
藤井  綸
三井 量光
川島 佳子
川越 歌澄
上林 千代
小池 芳子
桜庭 初代
小林 十方
田頭 玲子
酒井 和世
酒井千枝子
佐藤 君依
丸山 晶子
竹内 悦子
登坂 洋子
岡田 紀子
石井野洲子
森住 昌弘
鶴巻日々来

中川 春子
西田 瑩子
牧   静
疋田 郁子
吉田 和代
戸田 正宏
布施  元
安部 拙郎
安方 晩霞
濱本 俊二
横田キミヱ
北郷 三雄
児玉 文子
松本葉ッ双
中村 孝子
佐竹 晃子
押切 侖子
伊藤よし子
伊東 静枝
大塚 美砂
渡辺 久実
鈴木 志帆
黄道輝久子
千葉 百代

大根を蒔いて褒美のごと熟睡
星流れ洗ひ疲れのユニフォーム
ひとり出てやがて輪になる盆踊
我が行く手見定めてをる赤楝蛇
廃屋を余さず隠し葛咲けり
蒼天や縺れて離る秋の蝶
鳴ききつた蝉の骸を樹下に置く
底ぬけの笑顔の子やらねこじゃらし
父と子の釣銭橋の鯊日和
湧く雲の落ちてきて那智の滝しぶき
綾取りの紐がなくつて赤蜻蛉
大伯母の入りて踊りの手が揃ふ
ラムネ玉起承転結壜の中
老いしこと笑ひ合ひたり敬老日
あの時と同じ中庭カンナ燃ゆ
色変えぬ松さいはての友の墓
新蕎麦の老舗の塀に列をなす
窓越しに秋明菊の揺れ覗く
箱庭や仕上げに水車配しをり
弟の手に成る新米いとほしむ
額衝いて男体山の登山口
めまとひを打ち払ひつつ川原道
齋藤 孝臣
市田美穂子
渡部 道子
土岐  彰
横江  絲
遠藤  祥
塚原  鐵
笹本 征嗣
石黒みゆき
牛嶋美代子
内田  彩
石川  努
今田 明子
上田 豊子
島津 裕子
千葉 常子
佐藤  恭
長谷川汀留子
中台  透
瀬戸山泰子
海老沢静夫
小倉富五郎